ケルマーン州にある世界遺産、シャーザーデ庭園に行きました。この庭園単体の登録ではなく、イラン式庭園として登録された9つの庭園のうちのひとつです。
ケルマーンは本当に緑の少ない地方で、街の街路樹以外、木はほとんど生えていません。そしてここでは果樹園や庭園は土の塀で囲われています。日本の感覚だとちょっと分かりづらいですが、それだけ緑、特に木々は貴重なものなのでしょう。このシャーザーデ庭園もまた土壁に囲われた緑豊かな庭園です。
この庭園はケルマーン市の南東20kmのマーハーン市にあります。チャーター車でライエンとあわせて日帰りで行ってきましたが、乗り合いタクシーもケルマーンからあるはずです。マーハーンはバムへ行く通り道ですが、アルゲバム観光と合わせて日帰りは時間的にちょっと厳しいと思います。マーハーンには、スーフィズムの詩人であるシャーニアメトラーヴァリーの霊廟もあるので、この街はこの街としてゆっくり観光するほうがおすすめです。
さて、このシャーザーデ庭園ですが20世紀初頭にこの地域の領主によって造営されました。この領主がひどい暴君だったそうですが、庭園が完成する直前にテヘランに呼び出しを受けて国王に誅されてしまい、完成した庭を見ることはできませんでした。そのため今でも、タイル3枚を貼らずに(赤丸の部分)未完のままにしてあるそうです。
ちなみに、シャーザーデとは“王子”という意味です。
とても美しい庭園です。見渡す限り不毛な砂漠の中にこれだけの緑と流れる水があるのは本当に不思議な光景でした。木なんて外には一本も生えていないのに、ここではさながら森のように茂っています。
暑い時期の日中、ピクニック中の人々が大勢いました。並木には水を流していて涼し気です。
ここに限らずイラン人はピクニックが大好き。涼しくなった夜に公園に敷布を広げて、家族でチャイとお菓子を楽しむ人々も多いです。
そんな風景を見ていると、日本人とイラン人のどちらが人として幸福を感じているのだろうと考えるのです。日本にはイランと比べ物にならないほどの自由も娯楽もありますが、家族と過ごす時間はイランのほうがずっと多いのは間違いないのです。