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執筆者の写真rugsrang

マシュハド



ハラム 入口

 マシュハドはイラン第二の都市です。大きな食品メーカーの工場もあり、産業が盛んな大都市ですが、この街はシーア派のイラン人たちが敬愛するイマームのうちの一人、イマームレザーの霊廟(ハラムと言います)があることで名高いです。さしずめ、お伊勢参りや善行寺参りのようなもので、イラン人は「一年に一度は詣でたい」なんて言います。街のつくりも善行寺のある長野市のようにハラムが街の中心になっています。

 ハラム詣での観光客のため、街の中心地にはびっくりするくらい多くのホテルが立ち並んでいるので、マシュハドを訪れる際にホテル探しで困ることはないでしょう。

 トップの写真はハラムの正面入り口です。入場は無料ですが、ボディチェックがあるので入口は男女別になっており、また手荷物は預り所に預けなければなりません。スマホは持ち込み可能ですがカメラはNGでした。ちなみに入口の表記ですが、男性入口・女性入口ではなく「兄弟たちの入口」・「姉妹たちの入口」と書かれているのが宗教施設っぽいです。


メヘラバード国際空港 搭乗口

 さて、マシュハドですがイラン第二の都市だけあって、東京大阪便のように毎日複数の国内線が飛んでいます。バスだとかなり時間がかかるので飛行機がおすすめです。

 飛行機というとつい昨日(2018年2月18日)イラン国内線、アーセマーン航空の旅客機が墜落して乗員乗客全員死亡とのニュースがありました。アーセマーン航空にはマシュハドからテヘランへの帰路に搭乗したことがあります。CAさんたちがみんな美人でした。亡くなられた方々の冥福を心から祈ります。خدا رحمت شان کند

 思われているほどイランの飛行機はおんぼろではないのですけれど、それでも乗るときにはやっぱり覚悟してしまいます。長距離バスより事故率死亡率は少ないはず、と念じて堪えています。


メヘラバード国際空港 第二ターミナル

テヘランの国内線空港はメヘラバード国際空港。国際線の発着するイマームホメイニー国際空港はかなりテヘランの中心からは離れていますが、こちらは街中にあります。ちょうど羽田と成田の関係に似ています。メヘラバード国際空港はターミナルが6つあるので、行くときにはチケットを見てタクシーの運転手にどこのターミナルか伝える必要があります。


イランエア 機内軽食

 テヘラン~マシュハドは一時間半位のフライト。なのにもらえる軽食パックの量がやたら多い!

 これはイランエアに乗ったとき、ラマザーンの断食期間中のフライトで配られた軽食でした。断食中は皆どうするのかなぁと思って、口を付ける前に周りを伺ったのですが、大方の人は普通に食べ始めたので安心。旅行中は断食の必要はないのです。

 「それでは私も遠慮なく・・・」といこうとしたら、隣席の人がちゃんと断食するタイプ。なんだかとても食べづらかった思い出があります。


ゴウハルシャードモスク

 さて、ハラムに話を戻します。ハラムには主な建築物が二つあります。イマームレザーの棺がある鏡張りの霊廟と、15世紀のティムール帝国の第二代皇帝、シャー・ルフの后ゴウハルシャードによって建てられた、ゴウハルシャードモスクの二つの建築物があります。私はムスリムでもシーア派でもないので、正直後者のほうに魅力を感じます。ゴウハルシャードモスクはとても美しいイスラム建築で、感動してしばし見惚れておりました。惜しむらくはこのモスク、20世紀初頭にロシア軍の砲撃で一度壊されています。


ゴウハルシャードモスク マシュハド

 礼拝の時間が近づくと絨毯が敷き詰められます。さすがに枚数も大量に必要ですし、機械織りの絨毯です。

 ハラム内の服装ですが、女性は黒のチャードルが必須です。男性は意外とラフでもよいようで、Tシャツの人もみかけました。とはいえ、外国人は目立つので襟付きのシャツにスラックス位の恰好で行くほうが良いでしょう。


マシュハド 絨毯博物館

 ハラムには絨毯好きの方はもちろん、そうでない方にもおすすめの場所がもう一か所あります。それは「中央博物館及び絨毯博物館」です。建物はひとつになっています。何よりここ、外国人料金が存在しないワンプライスなのが嬉しいところ。イランの著名な観光地では外国人向けの入場チケットは丸ひとつ多い価格が普通なのです。

 テヘランの絨毯博物館より展示は少ないですが、客も多く明るい雰囲気。テヘランの絨毯博物館に行ったときは薄暗くて客も私ひとりだったものですから。

 ハラムは広いので場所が少しわかりづらいですが、大勢立っているガードマンに「ムーゼ(博物館) イェ(of) マルキャズィ(中央) オ(and) ファルシュ(絨毯) コジャース(どこですか)?」と聞くと教えてくれます。

 私もあくびをして暇そうなガードマンの一人に訊ねたところ、「どこの国の人?」と逆に聞かれ、日本人と答えると大興奮でお客様扱いで連れて行ってくれました。イランは日本に対してとても良い印象を持っていてくれる国だと本当に感じます。


 バルーチとトルキャマンの展示。右から二枚目はジョルギャラーン地区で作られたシルクのトルキャマン。


これはケルマーンの絨毯。他にも、イスファハーンやカーシャーンをはじめイラン各地の昔の絨毯が展示されています。地下にはサファビー朝期につくられた24平米のマシュハド産の展示があり、圧巻です。

 別の博物館のほうも、イランの歴史や文化・科学の発展や武器などの展示があり興味深いです。昔のコインとお札の展示が面白かったです。


 観光も楽しいのですが、絨毯の仕入れに行っているわけで、その時のお話も少し。

 写真はマシュハドの絨毯商が自慢げに見せてくれた、マシュハド産の12平米。ウールとシルクです。彼が自分のためにオーダーして作らせたもので、自身のサインが織り込まれています。出来上がるまで3年かかったと言っていました。

 こんな素晴らしい絨毯を家に敷けたら素敵だなと思う一方、たとえ手に入ってもこれに見合った家具類を揃えることを考えるととても無理だな、なんて思ってしまう小市民の私でした。



 この絨毯を制作した職人のお宅にも連れて行ってもらいました。今作っているのは、この絨毯商からの二枚目のオーダーだそう。くぅ・・・そんなお金持ちならもっと値切ってくればよかった。

 ちなみにマシュハドですがここではトルコ結びでつくっています。

 実はマシュハド市内では現在ではほぼ絨毯はつくられていません。絨毯を織る家はダウンタウンにほんの数軒を残すのみだそうです。

 絨毯を織るよりも同じ時間、働きに出たほうが経済的に有利であればそれは避けられないことです。ハラムの博物館で見たサファビー朝のマシュハドの絨毯、そしてその遥か昔からつくり続けられてきたこの街の絨毯づくりの伝統はまもなく完全に消えてしまうことでしょう。

 私の小商いでこの問題がどうこうなるものではありませんが、それでも「今」絨毯をつくり続けている人のために、できるだけ「今」の絨毯を取り扱っていきたいと思っています。

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