イラン、西アーザールバーイジャーン州のタカーブから車で40分程度の距離にある世界遺産、タフテソレイマーンに行きました。
タフト(台・玉座)ソレイマーン(ソロモン)、「ソロモンの玉座」という意味です。かっこいいですね。今から1500年程前のサーサーン朝時代にゾロアスター教の聖地として寺院が作られていたようです。時を経て、モンゴルのイルハン朝時代にも宮殿が建てられ、現在の遺構はその両方のものだそうです。
湖というよりは公園にある大きめの池くらいのサイズ。悠久の時を経ても、青い水を湛えているこの小さな湖からは今も水が湧き出ています。
この遺跡に限らず、城などもそうなのですが、いざ中に入ってしまうとかっこいい風景写真が撮れないのです。“観光地あるある”ですね。ネットの画像で見たすごい風景を期待してわざわざ来たのですが、それが遠くに見える丘の上から望遠レンズで撮影したものだとわかり、行くのを断念。運転手もなんだか面倒くさそうにしてましたし。
というわけでタフテソレイマーンの魅力的な写真を、インスタグラムからご紹介します。
この通り、青い湖を城壁が囲んでいてとてもファンタジックでかっこいいのです。
遺跡の内部はしっかりと管理・整備されていて、散策は容易です。
おそらく何かの倉庫の跡。受付で外人向けパンフレットをもらったので、あとでじっくり見ればいいや、と思ったのですが、後でそのパンフレットを見返すとなぜかドイツ語版。ドイツ語読めません・・・。モスクや公衆浴場など崩れそうな煉瓦だけではありますが様々な遺構が残っています。
兵どもが夢の跡・・・。
タフテソレイマーンのすぐ近くにあるアフマドアーバード村は、この地域でも絨毯の生産が盛んな村として知られています。
丘陵地帯の緑に囲まれた美しい村でした。冬にはかなりの積雪があるようです。
一軒のお宅にお邪魔させてもらい、絨毯づくりの様子を見学させてもらいました。
縦置き式の織機。この家では日本でもよく売れそうな小さめのサイズを作っています。
かぎ針を用いたトルコ結び(対称結び)で、きっちりがっちりパイルを結んでいきます。
街道沿いのアフマドアーバードの商店。この店の奥では絨毯用の糸を織り手に売っており、そして織りあがった絨毯を買い取っています。集めた絨毯は近くの街、タカーブの絨毯商に流れます。そしてタカーブから近くの大都市ザンジャーンやハマダーン、または首都テヘランへと売られていく。だいたいイランではどこもこういう流通形態になっています。
タカーブの絨毯屋。10軒程度が軒先を並べています。
タカーブはトルコ語に似たアゼルバイジャン語を話すアゼルバイジャン人の街です。この地域で織られる絨毯は、イランではアフシャール柄と呼ばれる六角形のメダリオンを持つマーヒー柄がほとんどで、“ビジャーの鉄の絨毯”として売られているのはこの地域のものです。
以前このブログに書きましたが、ビージャール(ビジャー)はクルド人の街で、州も言葉も違います(ビージャールはコルデスターン州の街、クルド語を話す住民が多い)。世界的に誤解されている産地と言えましょう。
タカーブの絨毯は高密度で厚い仕上げ。とても重い絨毯です。誤用であったとしても“鉄の絨毯”の異名はしっくりきます。
この街はホテルもおんぼろなのが一軒しかない小さな街なので、外人が歩いているとかなり目立ちます。そのせいか散歩していると結構声をかけられます。
何か言われて分からなくて、「ペルシア語下手ですみません。」と言うと「気にするな、こいつらもペルシア語あまりわからないから。アハハ。」
ほとんどの住民の母語はアゼルバイジャン語です。もちろんペルシア語が通じないということは無いのですが、街中の看板などの文字もペルシア文字なのになんだか読めないものが多いし、会話しているとたまに文法的にアレ?と思う時もありました。
彼らの伝統のデザインの絨毯が、別の民族であるクルドのものとして世界で売られている現状は複雑な思いがします。
絨毯屋でごちそうになったタカーブに昔からある名物アイス。上にのっているのはウエハース。トルコアイスのようにねっとりとしていて美味しい。味は伝統のローズウォーター風味。
タカーブの道端に置かれたキャバーブ屋のコンロ。右側のカタツムリみたいなのが送風機で、風を送って炭をおこします。珍しく、牛ホルモンのキャバーブがあったので注文。美味でした。